ケンシ@『学び合い』と真正の学びブログ

本の紹介、高等学院の立ち上げ、育児について書いています。以前は、『学び合い』、真正の学び、社会科教育などをメインに書いていました。

哲学対話の実践


不動産ならダイワハウス
ケンシです!
今日は


哲学対話の実践


について書きたいと思います。


ケンシは倫理の時間、単元のまとめに哲学対話を取り入れています。


哲学対話とは、円になって5〜20人くらいで問いを深めるために対話していき、「探求の共同体」を目指す


という実践です。
(河野哲也先生や梶谷真司先生の本や論文を読んで取り組んでいます。)


円になってとことん対話する
「探求の共同体」を目指す


というのが、
社会科として1人も見捨てずに思考力を深めるために貢献できそうだな、と感じ導入しています。


こちらから投げかけた問いは


自殺をどう止めるか


です。


あとは生徒が


西洋人が美しい、は本当か


など自分たちで問いを立てて対話をしました。


多くの子が


楽しかった


もっと話したかった


と肯定的なコメントをしてくれる中、


話についていけなかった


という子もいました。


このように実践する中で思ったことは、


1  社会科としての物足りなさ。討論授業の方が様々な資料について分析するので、思考力だけではなく分析力も高まる。よって社会科としては討論授業の方が良いのではないか。


2  哲学対話で1人も見捨てないは徹底できるか。
ついていけない子。対話をしなくても問いを深められる子。対話をしたら問いが深まる子。対話をしても問いが深まらない子がいる。


ということです。


そう思っていたケンシになんと、、、、!!!

『学び合い』2ヶ月の破壊力


好きなポケモンの技はスピードスター!
ケンシです!
今日は


『学び合い』2ヶ月の破壊力


について書きたいと思います。


4月当初、すごく力があって課題の問いそのものは一番乗りに終わる子がいました。しかし、誰にも話しかけず、誰もその子に話しかけず。
だから、「仲間に説明し納得してもらったらサインをもらおう」
のサインがもらえない時間が続きました。
しかし、少しずつ少しずつ。


集団の動きが良くなっていきサインをもらって課題達成!


それだけにとどまらず、歩き回って、「困ってることは無い?」と聞けるようになりました。


そして、先日の振り返りカードには
「助けることが出来て嬉しかった」


というコメント。


すごく嬉しいです。たった2ヶ月でこの動き。まさにスピードスター。3月までに素敵なチームになれるよう生徒達と一緒に頑張りたいと思います。

国内の貧困と海外の貧困のどちらに注目するほうが重要?


国内の貧困と海外の貧困のどちらに注目するほうが重要?


今日も以前、紹介した『オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一「考えさせられる」入試問題 「あなたは自分を利口だと思いますか?」』
(ジョン・フォードン 小田島恒志 こうし 小田島則子 河出書房 2017)
に載っていた問いとその応答について書きたいと思います。ラストです!


イギリス国内の貧困と海外の貧困のどちらに注目するほうが重要?


筆者は、


2005  グレンイーグルズ  G8サミット
→トニーブレアが富裕国をいいくるめ250億ドル出させる誓約させた。ライヴ8まで行いアフリカを支援する空気をつくったにも関わらず、イタリア、フランス、日本がお金を払わなかったこと


2009年にアメリカが自国の銀行救済に23兆ドル注ぎ込む。ガンビアのGDP1万倍、アフリカ全土GDPの数十倍


1730億ドル
→1日1ドル25セント以下で暮らしている14億人の人たち全員を引き上げるためのお金



という事実や数字をあげながら、


国内の貧困も国外の貧困も金融システム革命でも起こらなければどうしようもない


と結論づけています。


社会科の授業において貧困を扱う場合、


こんなに貧しくてかわいそう
貧しい人を助けていてすごい


という共感理解に留まってしまうことがしばしばありますが、改めて社会科としてシステムに目を向ける重要性を教えてくれた文章でした。

フェミニズムは死にましたか?


フェミニズムは死にましたか?


今日も以前、紹介した『オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一「考えさせられる」入試問題 「あなたは自分を利口だと思いますか?」』
(ジョン・フォードン 小田島恒志 こうし 小田島則子 河出書房 2017)
に載っていた問いとその応答について書きたいと思います。


フェミニズムは死にましたか?


これを筆者は、
タイムに掲載された有名な質問
60年代・70年代のフェミニズム、つまり性差別、セックス戦争をもたらしたフェミニズムは有効か?
この質問はその時代の運動が下火になったか、という意図


と解釈します。


ブラジャー焼き


が行われた頃とフェミニズムの動きが変わってきていることは認めながら、


女性の平均給与が男性のそれをいまだに下回っているのは忌々しき事態だ
強制的陰核切除、強制的結婚、性的搾取、さらに教育や就職の禁止などの過酷な問題に、少女も含めて、女性達が直面している国も多い。これらの問題が解決するまでは、フェミニズムは、単なる政治運動であるにしても、死ぬことはない


と結論づけています。



なるほど、たしかにフェミニズムは死んではいないと思います。しかし、反フェミニズムも死んではいない。両者はどう折り合いをつければよいのか、改めて、社会運動史などと絡めてフェミニズムについて学びなおしたいと感じました。

聖書は架空の物語(フィクション)でしょうか?


聖書は架空の物語(フィクション)でしょうか?
また、聖書をチックリット(女の子文学)と呼ぶことは可能でしょうか?


今日も以前、紹介した『オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一「考えさせられる」入試問題 「あなたは自分を利口だと思いますか?」』
(ジョン・フォードン 小田島恒志 こうし 小田島則子 河出書房 2017)
に載っていた問いとその応答について書きたいと思います。


聖書は架空の物語(フィクション)でしょうか?
また、聖書をチックリット(女の子文学)と呼ぶことは可能でしょうか?


まず、チックリットとは、


チックリット
=女性文学の伝統を言い表す用語として1980年代後半にアメリカの大学で使われるようになったもの
=1990年代になると従来とはちがう女性の小説、つまり「チック」(若い白人女性)読者をターゲットにした、チック(今どきの、情報通で、流行に敏感で、キャリアを追いつつセックスのことも頭から離れない若い女性)についての小説という意味になった(p147)


と筆者はまとめています。
また、


ほとんどの教会の権威はとっくの昔に、聖書に書かれている言葉のすべてが文字通りの真実ではないと認めている
多くのクリスチャンは聖書の物語は実話というより例えばなしであると考えている (p148)


とまとめています。
そしてこうした議論を


ホイッグ史観
→あと知恵を生かしてそうした出来事の影響を再評価したいという誘惑


と評価して論を終えています。


間接的に筆者的には、
架空の物語だ、という主張になるでしょうか。


この問いとその応答から


世代論、社会学的なものの見方や
今の気持ち、状態で歴史に対する評価が変わることを社会構成主義などと定義していましたが、ホイッグ史観という言葉もあることを学びました。

なぜ世界政府はないのでしょう?


なぜ世界政府はないのでしょう?


今日も以前、紹介した『オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一「考えさせられる」入試問題 「あなたは自分を利口だと思いますか?」』
(ジョン・フォードン 小田島恒志 こうし 小田島則子 河出書房 2017)
に載っていた問いとその応答について書きたいと思います。


なぜ世界政府はないのでしょう?


筆者は、


ダンテ『饗宴』
「もし全世界と全人類が一つの君主国しかもたなければ、つまり一人の支配者の下での一つの政府だけをもつならば」戦争は集結するだろう
(P140)

カント、人類史の頂点は「国際国民国家

アインシュタイン
「司法の決定により国家間の紛争を解決することのできる世界政府を是非作らなければいけない。この政府は各国政府の同意による明確な憲法に基づき、その法によって攻撃用兵器の独占的裁量権が与えられなければならない」


というような、ダンテ、カント、アインシュタインを引用し、
「各国政府の同意」として、


フランシス・フクヤマ  『歴史の終わり』
(各国政府の同意=リベラルな民主主義と資本主義?)


を引用します。


フクヤマは、「全世界が自由市場を基盤としたリベラルな民主主義に向かって進み出した今こそ「歴史の終わり」(国際社会にリベラルな民主主義と資本主義がいきわたれば、それ以上の社会制度の進展はなく、政治体制は安定し、戦争や内紛もなく平和な社会が永続するという考え方)である」
と語りましたが、それを筆者は、中東やアフリカを例に出し、


薄弱な楽観主義(P142)


と批判しました。そして、


40年代、50年代の
ジョージ・オーウェル1984
オルダスハクスリー『すばらしい新世界
を引用し、


「世界政府が樹立された暁の地獄絵図。個人には何一つ残されていない魂の抜けた世界」


を紹介。

世界政府に対し、批判的な見解を示しつつも最後は、グラント将軍の南北戦争後のセリフ
「将来いつの日か、地球上のすべての国が共通の国会のようなものを作ることに同意し、そこで国際的な難問を審理し、そこでの決定が今日の最高裁の決定と同様な拘束力をもつことになるであろうと私は信じる」  (p146)


を引用し、論をまとめました。


直接的な表現は、ありませんでしたがこのような論をまとめると


各国政府の同意が難しい点、人々が自由を求め、制約を嫌う点。この2点の理由で世界政府は現在存在しないが、未来に期待する


という主張になるでしょうか。


EUの授業、政治・経済、倫理などで使える知識、考え方に富んだ本の一節でした。

毛沢東主席は今日の中国を誇りに思っただろうか?


毛沢東主席は今日の中国を誇りに思っただろうか?


今日は以前、紹介した『オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一「考えさせられる」入試問題 「あなたは自分を利口だと思いますか?」』
(ジョン・フォードン 小田島恒志 こうし 小田島則子 河出書房 2017)
に載っていた問いとその応答について書きたいと思います。


毛沢東主席は今日の中国を誇りに思っただろうか?


筆者は、

民選政府の統治下に暮らしている人の数は、中国だけで世界中の地域を合わせた人数を上回る

ことや、毛沢東があれだけ嫌がった資本家が力を持っていることを考慮しながらも

世界銀行前総裁ポール・ウォルフォウィッツ氏は2005年に中国を訪問した際、「東アジアは人類史上最短期間で再大多数の富を最大規模で増大させた」  (p138)

という評価や毛沢東の性格などを踏まえ

大きな声で自慢する


と結論づけていました。


こうした問いは、たくさんの文献を読み込み歴史上の人物を理解しなければならず難解です。
しかし、タイムスリップ、妄想を必要とし、1部生徒はワクワクするチャーミングな問いだなぁと感じました。

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