有川浩さーーーん!!!
ケンシです!
今日は
FACTFULNESSは世界を良くするのか
について書きたいと思います。
遅ればせながら、
FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 ハンスロスリング、オーラロスリング、アンナロスリングロンランド 上杉周作、関美和 訳 日経BPマーケティング 2019
を読みました。
本書によると、
ファクトフルネスとは、
事実に基づく世界の見方 24
です。
具体的には、
ファクトフルネス
→話の中の「分断」を示す言葉に気づくこと 59
→ネガティブなニュースに気づくこと。そして、ネガティブなニュースのほうが、圧倒的に耳に入りやすいと覚えておくこと 94
→グラフは、まっすぐになるだろうという思い込みに気づくこと 127
→恐ろしいものには、自然と目がいってしまうことに気づくこと 159
→ただ一つの数字がとても重要であるかのように勘違いしてしまうことに気づくこと 185
→ひとつの集団のパターンを根拠に物事が説明されていたら、それに気づくこと 213
→いろいろなもの(人も、国も、宗教も、文化も)が変わらないように見えるのは、変化がゆっくりと少しずつ起きているからだと気づくこと 236
→一つの視点だけでは世界を理解できないと知ること259
→誰かが見せしめとばかりに責められていたら、それに気づくこと282
→いますぐに決めなければならないと感じたら、自分の焦りに気づくこと。307
だそうです。
こうしたファクトフルネスは、世界を良くするのでしょうか。
もちろん、する
と社会科教員としては思います。
が、少し疑問があります。
しっかり読んで理解しないと
なんだ、世界よくなってるからそんな頑張んなくてもいいじゃん
と思う人が出てきてしまうのではないか、という危険です。
例えば、本書では、2016年世界の、0歳の死亡率について
たったの3% 180
というデータを引用しています。
これは、ユニセフの
5歳になれない子供が年間800万人!!!
https://www.unicef.or.jp/special/10sum/5th_birth.html
がかなり弱まる数字です。
(0歳と5歳という違いはありますが)
なーんだ、でも0歳児で見れば97%は生きられるんでしょ
と。
まさに、
ただ一つの数字がとても重要であるかのように勘違いしてしまうことに気づくこと
というファクトフルネスです。
でもファクトフルネスを発揮することで、ユニセフのホームページを見て、
募金しなきゃ
と思った人の善意が少し、剥がれ落ちそうな気がします。
そんなので剥がれ落ちるくらいの善意ならいらないでしょうか。
たしかに、社会科教員としては
ユニセフの広告を批判的に検討し、自分のお小遣いを募金するのにふさわしい投資先を選べるような市民を育てたいです。
特に、
善意で貧困はなくせるのか? 貧乏人の行動経済学 ディーンカーラン ジェイコブアペル 清川幸美 訳 澤田康幸 解説 2013年 みすず書房
を生かしたような実践をして。
でも、ファクトフルネスが一人歩きをして、せっかく世界のために動こうとした小さな善意が
なーんだ
で消えてしまうのをちょっぴりおそれます。
そして、『図書館戦争』のあの言葉を思い出すのです。
正論は正しい、だが正論を武器にする奴は正しくない