ケンシ@『学び合い』と真正の学びブログ

本の紹介、高等学院の立ち上げ、育児について書いています。以前は、『学び合い』、真正の学び、社会科教育などをメインに書いていました。

キャリア教育をどうすべきか〜『キャリア教育のウソ』〜  

 

武井壮、サッカーの監督頑張れ!
ケンシです!


今日は


キャリア教育をどうすべきか〜『キャリア教育のウソ』〜


について書きたいと思います。


高3の担任として絶賛、キャリア教育中なのですが、まだ、


キャリアカウンセリング入門  人と仕事の橋渡し  渡辺三枝子  ELハー  ナカニシヤ出版  2001
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しかキャリア教育に関しては読んでおらず、


複数の視点やアプローチがあるんだな


という認識でした。


キャリア教育をどうすべきか?


という問いに対しては、
複数の視点やアプローチを意識する


程度のことしか答えられない状態でした。


そこで、出会ったのが


キャリア教育のウソ  児美川孝一郎  ちくまプリマー新書  2013


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なのですが、この本では、

 

 

 

 

 

 

 

夢ややりたいことに拘泥するようなキャリア教育に、いったいどれほどの価値や意義があるのか  17

学校や大学において展開されているキャリア教育は、いったいどのようなものなのか。そのどこに問題があるのか。逆に、若い人たちは、現に行われているキャリア教育とどう向き合えばよいのか。どんなふうに距離をとればよいのか。29

 

 

 

 

 


という問いが投げかけられます。
そして、

 

 

 

 

 

 


良かれと思ってやったことが、子どもや若者を追い込んでしまったり、逆に、リアリティを欠いた夢想の世界に走らせたり、既存の秩序への適応を強引に迫ったりすることもある  31

現在のキャリア教育は、狭すぎるし、偏ってもいる  44
→キャリア教育の焦点が、職業や就労だけに当たってしまっている  44
→キャリア教育への取り組みが、学校教育全体のものになっていない(教育課程から見て、外付けの実践になってしまっている)44

日本の職業世界では、専門職や専門的職種などを除くと、そもそも雇用は、ジョブ(仕事)によって切り分けられていない  67
職業世界の、現実、がこうであるのに、キャリア教育においては、「やりたいこと(仕事)」を明確にすることが求められる。こうした対応関係には、もともと無理があるのではないか  67

やりたいこと(仕事)を見つける
→狭い範囲での「経験」  74
→メディアを通じて得た「情報」74

やりたいこと(仕事)を見つけさせたとしても、その選択の根拠は、ずいぶんと"底の浅い"ものになる可能性が強い  75

 

 

 

 

 

と日本のキャリア教育の課題が指摘されます。
そして、提案として

 

 

 

 

 

 


そんなことをするくらいであれば、子どもや若者には、現在の日本の産業構造がどうなっていて、職業構成がどう変化し、実際の職場における労働(仕事)の実態が、いかなる状況にあるのかといった、職業や仕事についての理解を深める学習に力を入れることを薦めたい  75

イメージ先行やメディアの情報を鵜呑みにして獲得したのかもしれない「仕事」像をいったんは崩したうえで、多様な選択肢の存在に気づく必要がある。「やりたいこと」を考えたいのであれば、そうした広い意味での「社会認識」に基づく豊かな「土壌」を先に形成してほしい  75

技術系なのか、事務系なのか、広い意味での対人サービスなのかといった「方向感覚」と、自分が働いていくうえで何を大切にしたいのか、何をやりとげたいのかといった価値観が大まかにつかめれば十分である  78

ぶれない軸をつくること、根っこにある自分の軸をつかむことが重要  78

 

 

 

 

 

 


と述べられます。
こうした本書の主張を踏まえると、


もっと学校全体で
社会科を中心として


キャリア教育に臨んでいくべきだ


と感じました。


例えば、小学校の


〇〇さんの思いと願いでこんなに美味しい野菜が食べられてるんだ!!
すごーーい!わー!!!


というキャリア教育ではなく、中高で


なぜ食料自給率が低いことを政府が宣伝し、優遇政策をしているにも関わらず、農業従事者は増えないのか?


など、なぜ発問で産業の構造を探求していく必要があるでしょう。


また、個人的には

 

 

 

 

 

 


やりたいこと、やれること、やるべきこと  85

 

 

 

 

 


というキャリアのとらえかたが、個人のキャリアを考える上で参考になりました。
みなさんはなぜ今の仕事を選んだんですか?
教員になった方の多くが、「やりたいこと」「やれること」(資格的に)で選んだのではないでしょうか?


やるべきこと


という視点はあまりないように思います。
ケンシも海外にあるとはいえ、いわゆる普通の高校で働いています。
この個別最適化が進む時代でなぜ普通の高校で働くのでしょう。
社会や時代の流れを考えたら
通信制高校で「やるべき」なのかもしれません。


また、

 

 

 

 

 


正規雇用を見すえた、どんなキャリアキャリア教育が必要か  154
→非正規での働き方の多様な形態、それぞれのメリット・デメリット等についての学習  155
→次のステップ(例えば、正社員への転換)への見通しの立て方の学習  155
→公的な職業訓練や求職者支援などについての情報提供  155
→労働法についての学習、相談・支援機関についての情報提供  155
→同じプロセスを歩むことになる者どうしの仲間づくり  155

ふだんから自分を磨いておくこと、頼りになるネットワークを築いておくこと  164

 

 

 

 

 

 

 

という記述は、『学び合い』の語りにも使えそうです。

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