ケンシ@『学び合い』と真正の学びブログ

本の紹介、高等学院の立ち上げ、育児について書いています。以前は、『学び合い』、真正の学び、社会科教育などをメインに書いていました。

いじめ対策〜論者6人まとめ〜

 

 

か、監視カメラ!?

ケンシです!

 

 

今日は

 

 

いじめ対策〜論者6人まとめ〜

 

 

について書きたいと思います。

 

 

  • いじめの対策ってたくさんあるけど結局どうしたらいいの?
  • いじめ対策の本って何読めばいいの?

 

 

という人に貢献できれば幸いです。

 

 

今回は6名

梅野正信さん、尾木直樹さん

岡本茂樹さん、森口朗さん、森田洋司さん、中野信子さん

 

 

の本を読んだまとめになります。

 

 

この6名は大きく2つのグループに分けられるなと思いました。分けるポイントは「加害者への共感」です。

 

 

1つ目のグループは、梅野正信さん、尾木直樹さんの、加害者への共感が小さめの「いじめはだめ!絶対!」というグループです。

 

 

これに対して2つ目のグループは、岡本茂樹さん、森口朗さん、森田洋司さん、中野信子さんの、加害者への共感がやや大きめの「いじめはだめ!絶対!だけど起きてしまうもの。起きてしまういじめにどう対応すべき!?」というグループです。

 

 

それぞれ微妙にアプローチが異なっていきます。6人のまとめをしたあとに、それぞれのアプローチの違いが明らかになるかもしれません。

 

 

加害者への共感が小さめの「いじめはだめ!絶対!」というグループ

梅野正信さん、尾木直樹さん

 

 

加害者への共感がやや大きめの「いじめはだめ!絶対!だけど起きてしまうもの。起きてしまういじめにどう対応すべき!?」というグループ

岡本茂樹さん、森口朗さん、森田洋司さん、中野信子さん

 

 

の順で整理していきます。

それでは参ります。

 

 

いじめ判決文で創る新しい人権学習 梅野正信 2002年 明治図書

 

 

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本書では、

 

 

 

 

 

 

授業のゴールをはっきり示す

→理念的な目的

  →実際にあった事件を学習して、自分には何ができるかを考えよう

  →自分が窮地に陥ったときの対策を考えよう

  →法的な対応は弱い者を守るためにある このことを具体的に学ぼう

→具体的理由?

  →一週間後に討論

  →加害者の行為と犯罪をひどい順にリストする班

  →先生がいつの時点で何をすべきだったかをリストする班

  →生徒たちがいつの時点で何をすべきだったかをリストする班

  →被害者の親がいつの時点で何をすべきだったかをリストする班

  →被害者が現実にできたと思われる自殺回避の方法を、いつの時点で何をすべきだったかをリストする班

 

 

 

 

 

など

自分だったらどうするかという問いを持ちながら、実際の裁判事例などを探究していきます。

授業でいじめを失くそうとするアプローチです。道徳、社会科にはもってこい。

 

 

続いて

 

 

いじめ問題をどう克服するか 尾木直樹 2013年 岩波新書

 

 

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本書では、

 

 

 

 

 

 

人権尊重のシチズンシップ教育・愛とロマンの教育

→人権侵害であるいじめ問題をシチズンシップを養うことで克服

→子どもに対しては体罰などのペナルティを課すことで向き合うのではなく、寛容の精神で向き合う

→そして人類の英知・進歩などについて、大きなロマンが感じられる授業を実践する

→ヒドゥンカリキュラムとして

 

三者機関

 

傍観者から仲裁者へ

→両方の言い分を聞く

→客観的なアドバイス

→クラス全員で議論

 

深いコミュニケーション力

=差異があるお互いを平等の立場として認め、そのうえで、相手の意見にどう耳を傾けるか。相手と考え方が違っていたとしても、感情的にならず、どのように自分の考えを主張していくか。

 

友達と仲良くしなさい、うそをつかないようにしなさい、ちゃんとあいさつをしなさい、と日本の子どもは言われていない?

 

 

 

 

 

など

寛容の精神!といった心を育てよう!!

 

 

深いコミュニケーション力

 

 

の育成について述べられています。

こちらは授業や学級経営などに重きを置いたアプローチです。

 

 

ここまでが、

加害者への共感が小さめの「いじめはだめ!絶対!」というグループ。

 

 

続いて

 

 

加害者への共感がやや大きめの「いじめはだめ!絶対!だけど起きてしまうもの。起きてしまういじめにどう対応すべき!?」というグループ。

 

 

まずは、

 

 

反省させると犯罪者になります 岡本茂樹 新潮新書 2013

 

 

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本書では、

 

 

 

 

 

 

尾木ママ方式」ではいじめを減らせない 161

→いじめられた子の心情を考えさせる指導

→被害者の視点を取り入れた教育

162

 

 

 

 

 

と尾木さんのアプローチをいじめられた子への共感、被害者の視点を強調していることから批判します。そして、

 

 

 

 

 

 

加害者の視点から始める 164

なぜ、いじめたくなるのかをみんなで話し合う 165

 

内面の課題を考えるために、あらかじめいろいろな課題を用意しておきたい

→これまでに親からよく言われたこと

→自分のストレスについて

→今悩んでいること

194

→今回の行動を起こして「得たもの」と「失ったもの」

195

 

 

 

 

 

など、加害者への共感、教育相談を重視したアプローチを展開します。授業だけではないですね。本書ではさらに、加害者が自分を見つめ合うためにはどうしたらいいのかが述べられております。

 

 

次に、

 

 

いじめの構造 森口朗 2007年 新潮社

 

 

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本書では、

 

 

 

 

 

 

子どもたちは、12年間で、様々なタイプのいじめに出会う。そして、スクールカーストの高低とキャラクターに応じて、様々な役割を演じる。

→「いじめられるものにも原因がある」 それは、様々な役割を演じてきた彼らの実感

 

学校の異常さは、いじめが存在することではありません。校内で犯罪が行われ、それがいじめの名の下に犯罪として扱われていないことにある

→国家権力を憎むカビの生えた日教組思想と、教師はあらゆる困難を乗り越えていじめ被害者を守り、いじめ加害者を更生させるべきだと考えるコケの生えた教師聖職者論、少しくらいやんちゃな方が立派な大人になるといった牧歌的な青春イメージ

 

校内犯罪には、即時出席停止・警察官による逮捕・家庭裁判所による審判、少年院送致や強制転校といった措置を取ることで、最も凶悪ないじめから児童生徒全員を守る

→被害者が被害を訴えたときには、精神科医スクールカウンセラーの意見を尊重し、学校がいじめを確認できなくても転校を許可することで最も弱い被害者を守る

 

いじめ予防には価値観の押し付けが不可欠

→弱い者いじめは卑怯である。人をいじめるのは賤しい行いである。そして、卑怯者や賤しい行いをする奴は、他者から軽蔑されて当然である。このような価値観を明白に提示する規範となると、思いつくのは『武士道』

→観衆を傍観者に(そして仲裁者へ?)

 

 

 

 

 

 

といったように述べています。

武士道のような価値観形成を重視する面もありますが、懲罰主義的な面が見られます。授業だけでなく

、いじめが起きたときの仕組みを法的な視点、行政的な視点で考えています。

 

 

次に、

 

 

いじめとは何か 教室の問題、社会の問題 森田洋司 著 2010年 中公新書

 

 

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本書は、

 

 

 

 

 

 

私事化、プライバタイゼーション

→人々を集団や人間関係へと伝統的につなぎとめてきた絆に緩みが現れてきた、ということである。それは、人間関係のしがらみに振り回され、他人が私事に土足で踏み込んでくる煩わしさから逃れようとする動きであり、自分を犠牲にしてまで企業や集団に尽くすことはほどほどにし、私生活の隅々まで丸ごと呑み込まれることがないように人間関係や組織に対して適度な距離を置きつつ、自分の私的な領域(ワタクシゴトの世界)を確保したいという欲求の現れ

 

ソーシャルボンドは人を社会へと参画させるつながりの糸であって、個人を強制的に引っ張っていく鎖になっては、求心力は高まらない。むしろ、人々の側がソーシャルボンドに意味を見出せるかが大きい。自分にとって意味のあるものという認識が意味づけの糸となり、人々を引きつけることだろう。私事化社会が意味探求社会といわれる所以である。

 

 

ソーシャルボンド理論

→なぜ規範を守ろうとするのか?

 

ソーシャルボンドの要素

→愛着 情動的な意味づけの糸

→投企(コミットメント)(利益?)理性的なつながり

  →いじめにより得られるものと失うものとのバランスを秤量(ひょうりょう)

→巻き込み

  →自己実現を見出せたり、自分のニーズを充足させるものがあるかどうか?

→規範の正当性への信念

 

 

 

 

 

と述べられています。

ソーシャルボンドという社会的なつながり。私事化、意味探求などを重視しています。かなり今の教育改革に近い議論だと感じています。

個別最適な学びだったり、社会に開かれた学校だったり、PBLだったり、真正の学びが近くなっていくのかなと思います。

こちらも授業や学級経営はもちろん、ソーシャルボンドがもてるような社会に開かれた学校というシステムに注目します。

 

 

最後に、

 

 

ヒトは「いじめ」をやめられない

「いじめ」と「脳内ホルモン」の危うい関係

脳科学中野信子

小学館

2017

 

 

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本書は、

 

 

 

 

 

 

 

本気でいじめを防止しようと考えるのであれば「いじめが止まらないのはいじめがやめられないほど楽しいもんだからなのではないか」という考えたくもないような可能性をあえて吟味してみる必要があるのではないでしょうか13 14

 

止めるには、自分が相手を攻撃すると自分が損をするというシステムが必要です14

 

自虐ネタの達人になる、アンダードッグ効果

 

適度な距離

 

自分の意見を無理に押し通すのではなく、相手の意見も尊重しながら率直に自分の意見を話す姿勢をアサーティブと言いますが、日本人はこれが実はとても苦手です139

 

アサーティブなコミュニケーション力を身につけるために、参考になるのはテレビ番組などにおける芸人さん達の言葉の操り方の巧さです

 

流動的

 

監視カメラ

 

 

 

 

 

 

などの文章、キーワードがあげられています。

アンダードッグ効果などの学校教育では決して扱わないような心理学的テクニック、コミュニケーションスキルや

流動的な人間関係の大切さが述べられています。

このあたりは、授業や学級経営で実現する方向性かもしれませんが、「監視カメラ」の導入を提案するなどシステムにも考えが及んでいます。

 

 

いかがでしたでしょうか?

ここまで、

 

 

加害者への共感が小さめの「いじめはだめ!絶対!」というグループ

梅野正信さん、尾木直樹さん

 

 

加害者への共感がやや大きめの「いじめはだめ!絶対!だけど起きてしまうもの。起きてしまういじめにどう対応すべき!?」というグループ

岡本茂樹さん、森口朗さん、森田洋司さん、中野信子さん

 

 

という2つのグループ、6人のいじめ対策論者をまとめてきました。

個人的には、まとめていく中で、

 

 

加害者への共感が小さめの「いじめはだめ!絶対!」というグループ

梅野正信さん、尾木直樹さん

 

 

は、心やコミュニケーション力に特に重きを置き、授業や学級経営でいじめをなくそうとする。

 

 

加害者への共感がやや大きめの「いじめはだめ!絶対!だけど起きてしまうもの。起きてしまういじめにどう対応すべき!?」というグループ

岡本茂樹さん、森口朗さん、森田洋司さん、中野信子さん

 

 

は、授業や学級経営でいじめをなくそうとするのはもちろんだけどシステムにも目を向けているなという印象を受けました。

 

 

いじめをどう捉えるかでアプローチも変わるのかもしれませんね。

 

 

6人まとめると

 

 

 

 

 

 

力・スキル

価値観

つながり ソーシャルボンド

内省する機会

事例の探究

懲罰主義

三者機関

システムの見直し

 

 

 

 

 

などがいじめ対策には必要かもしれません。

 

 

  • いじめの対策ってたくさんあるけど結局どうしたらいいの?
  • いじめ対策の本って何読めばいいの?

 

 

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