スカッとジャパン!
ケンシです!
今日は
『歴史で私たちは何ができるか?』
について書きたいと思います。
『歴史で私たちは何ができるか?』
高3の時のケンシは、
合理的思考力を育成できる
と考えていました。
しかし、それだけでは無いことが大学に入ってから分かりました。
他にどんな回答があるのか。
昨年、大学時代の恩師が
歴史総合パートナーズ9 Doing History 歴史で私たちは何ができるか? 渡部竜也 清水書院 2019
https://amzn.to/3j0pTNV
を書きました。
この本は、
高校の歴史教師の多くがこれまで何を考えてきたのか、今何を考えているのか、それを学び手がどのように感じていると思われるのか、そのことが社会生活にいかなる貢献や悪影響をもたらすのかといったことについて論じていきます。また、高校の歴史教育を変えるにはどうすれば良いのかについて、筆者なりの提言をしたいと思います 16
三つの伝統
→実用主義
→現代社会の理解や判断のための手段としての歴史学習 21
→実証主義
→歴史学者の研究それ自体が本来的に一般の人々にとって全く無駄なものではないはずであり、むしろ問題はその事実が一般の人々に伝わっていないことにあるとする(中略)立場 21
→歴史学者の使命は、歴史的思考(中略)を用いて、現在の世俗的なことやその時代の価値観に左右されることなく、過去における社会変化やそれがその当時の社会全体や後世に影響を与える作用を史料に基づいて科学的・実証的かつ客観的に解明することであり、歴史教師の使命はこうした歴史学者の研究成果を正しく一般の人々に知らせることにある 23 24
→構成主義
→歴史的思考は歴史学者だけが専有するべきものではなく、広く一般市民が共有するべきものであり、そうすることで一般市民も歴史的な出来事の事実解明や解釈に参加することができるようになるべきだと考える 26
→この立場は歴史学者の研究成果よりも教育を通した歴史研究の実践を重視する傾向があり、基本的には歴史学者と同じ思考作法、つまり「歴史的思考」を用いて史料読解をする授業を重視 26
→人々が実際にどのような解釈をするのかということよりも、人々が歴史学者と同じ歴史的思考法を身につけているかが重視される 26
→歴史を歴史学者たちの主観的な記述と見なし、歴史教育においてはそうした歴史学者の歴史記述の主観性を暴くことを目的 26
→三つの立場の中で、歴史学者の歴史研究の成果自体に対して最も懐疑的な立場 26
→歴史的思考の価値について、どの立場よりも絶対視 26
歴史的思考 38
→史料の厳密な読解と出典の確認 close reading and sourcing
→証拠や論拠のある歴史的推論 historical reasoning with evidence
→歴史的文脈への配慮 contextualized thinking
→年代順の思考 chronological thinking
筆者は、高校での歴史教育を改善する鍵は、実証主義や構成主義より、この実用主義にあると考える一人です 65
なぜなら、今の学校の歴史教育に対して人々が不満を持つ最大の原因は、自分は歴史学者になるわけでもないのにどうして歴史を学ばなければならないのか、という根源的な問いに対して、歴史を教授する側の人間たち(歴史学者と高校教師)の論理ばかりが先行し、学ぶ側のニーズが置いてきぼりになり、一般の人々にとって納得のできる回答がこれまで十分に示されてこなかったことにあると考えるからです 65
共通するのは、「Doing History(歴史する)」が、単に歴史学者のまねごとをすることではなく、社会生活をより良くするために、そして民主主義社会をより進展させていくために、一般の人々が歴史を賢く使っていくことであると考えている点 104
そして、こうした目的を達成するためには、歴史学者の大切にする歴史的思考であっても、その使い方次第で社会的貢献と抑制のそれぞれの作用があること、そして歴史学者が大切にしていない思考でも民主主義社会の形成に寄与する要素が隠れていることを、一般の人々が理解していく必要があり、学校教育はそのことを歴史授業で伝えていかなければならない、と筆者は考えます 104
とのべ、
歴史で民主主義社会に貢献できる
と強く主張しています。
みなさんは
『歴史で私たちは何ができる』
と思いますか?