コミュ英!
ケンシです!
今日は
読書紹介〜『ライトノベル表現論』〜
について書きたいと思います。
『ライトノベル表現論 会話・創造・遊びのディスコースの考察』 泉子Kメイナード 明治書院 2012
https://amzn.to/3b628iA
を読みました。
久しぶりの学術書。読み応えがありました。
ざっくりと内容をまとめます。
ライトノベルには話し言葉である「会話」と書き言葉である「文章」というふたつの、従来対立して扱われてきた現象が統合されているⅱ
ライトノベルの文体や表現の特徴は何か、どんな表現方法を駆使してどのような効果を狙い、読者にどうアピールするか、その過程で日本語がどのような姿で創造・消費されるようになってきたか、もっと根本的には、現代の日本、特にポピュラーカルチャーの世界で、日本語はどのような機能を果たしているのか。今回のプロジェクトは、これらの問題提起に答える試みであるⅱ ⅲ
本書で筆者はライトノベルの文体を「会話体文書」という表現で捉える。書き言葉でありながら、会話部分にも語り部分にも会話性が溢れているからである。ⅲ
本書ではライトノベルの研究を通して、日本の後期ポストモダンという時代の流れの中で、今私たちはどのような言語文化を生きているのかを明らかにしていきたいⅲ
ライトノベルの定義 2
・新城2006
→キャラクターを素早く伝える方法としてイラスト等を意識し、キャラクターを把握してもらうことに特化してきた20世紀末〜21世紀における小説の手法
・榎本2008
→ライトノベルレーベルから出版されている
→イラストを多用
→キャラクターが物語の中心
→ファンタジックな要素が登場
→中高生向けの娯楽小説?
本書では、ライトノベルを「アニメ的なイラストが添付された、中高生を中心としながらも成人をも読者に含む娯楽文芸作品群」と定義3 4
ライトノベルは、自然主義文学がコンテンツ中心のメディアであるのに対し、コミュニケーション志向メディアであると言われる。ライトノベルは文芸作品であるが、読者は単なる受身の存在ではなく、異なった解釈を楽しむ参加者として存在する。32 33
つまり、情報を得るというより、むしろ、ライトノベルの作者、語り手、キャラクター、さらには、読者間のコミュニケーションを楽しむという方が正しい 33
東(2007)
→ポストモダン化されたメディア社会においては、作品は発信者(作者)が一方的に送り出すものではなく、受信者(読者)が解読し、変形するものとして捉えられねばならない 33
ライトノベルの読者は、ポピュラーカルチャーの鑑賞者として共同体意識を持ち、その仲間内のコミュニケーションを大切にする35
ライトノベルという虚構文化の中で交渉する主体(作者)と相手(読者)の相互依存的な関係が、ポストモダンに生きる人間のアイデンティティーを支えていく。そしてキャラクターに自分のイメージを重ねつつ、その架空のキャラクターに萌える消費者たちは、データベース情報を分かち合う共同体の中で自分のアイデンティティーを求めていく。ライトノベルの表現を場交渉論的に考察することで、言語をこのような人間行為として理解することができた 330
本書で報告した研究を通して、私たちは言語は孤立した現象ではなく、他の記号や他の世界に開けた領域を包括するものであることを学んだ。330
本書で試みたライトノベル表現論は、談話の分析・考察をそういった人間的な学問に近付けることができたと思う330
のようにライトノベルとは何か。
ライトノベルから見た言語文化はどのようなものか。
言語行為やコミュニティについても書かれた本でした。
次回は、この本から学んだことで、『学び合い』実践者への提言を書きたいと思います。