ケンシ@『学び合い』と真正の学びブログ

本の紹介、高等学院の立ち上げ、育児について書いています。以前は、『学び合い』、真正の学び、社会科教育などをメインに書いていました。

読書紹介〜『イン・ザ・ミドル  ナンシー・アトウェルの教室』〜


シャンプーはLux!
ケンシです!


今日は読書紹介『イン・ザ・ミドル  ナンシー・アトウェルの教室』(ナンシー・アトウェル著  小坂敦子・澤田英輔・吉田新一郎 編訳  三省堂 2018)


をしたいと思います。


この本は、教育界のノーベル賞であるグローバルティーチャー賞を受賞した
「世界一の国語教師」ナンシー・アトウェルの実践記録、ライティングワークショップ、リーディングワークショップの指南書です。


アトウェル自身の強い思い、アトウェルと生徒の化学反応に胸が熱くなります。
「人を伸ばす」という真っ直ぐな思いに「教育の原点」を感じました。
そして、日常生活に欠かせない読み・書きに関して生徒達を伸ばしに伸ばす様子を読み、国語の先生がやりたくなりました。
また、自分自身の読み書きのスキルアップや、社会科への示唆など、学ぶことがたくさん!
必読です!!!


以下、綺麗にはまとまっていませんが、ケンシのビビッと来たメモです。



ライティングワークショップは実際に書いている真っ最中の生徒たちをここに観察しサポートししかも教室内で私も学ぶことを可能にする教え方です
私が最初に学んだのは、生徒に自由を与えることは規律や厳しさを損なうものではないということでした。それどころか生徒は自分たちの学習に責任を持ち、それを実行するようになるのです、私も書き手として1人ひとり異なる目標を持つ生徒に役立つ事を教える仕組みをどう作ればいいのか、責任をもって学び、そして教えるようになったのです、P31

ブルーナ
→大人が介入し、やってみせ、徐々に援助を減らしていくことを、学びを「譲り渡す」段階なのだと言っています p35

どうすればいいかを生徒に示し、役立つ助言を与え、自分がしっかり理解した上で生徒に伝えています。生徒が上手に問題解決をしたり、光る文を書いたりすれば賞賛もします p36

ライティングワークショップの両輪は教師の知識と生徒の自己決定です。

ライティングワークショップに向いている人は、
書くことを真剣に情熱を持って捉えている人。うまく書こうと努力を惜しまない人、書くことには人生を変える力があるとわかっている人、若い書き手たちに書き手が使える技を教えられる人文学を愛する人、そして生徒を支えようとする人

私の生徒たちは読み手としての私を知っていて、そんな風になりたいと思っているだろうか、文学が大好きになって文学が生活の1部になるようにしてくれた先生として私のことを覚えていてくれる生徒はいるだろうか

教師が機会さえ与えれば、ヤングアダルト向けから大人向けに橋渡しする本にも夢中になることを生徒たちは教えてくれましたP44

リーディングワークショップは生徒がひたすら読み、私は腰掛けて時計を見ているような自習時間ではありません。国語の教師は読み手であり、批評家であり、ガイドでもあります。毎日読み手達と他の読み手の邪魔にならないように小さな声で会話をします、今読んでいる本について教えて?主人公は何が話の中で問題になっているの?作家の書き方で気づいたことはある?
この本に満足?

教室で毎日20分、自宅でも週に7日、毎日最低30分間読みます。

ただ楽しいだけの読書とリーディング・ワークショップを分けているもの、それは結局のところ、私から生徒への「譲り渡し」だと言えるでしょう  p48

譲り渡し
→自分に合う本や合わない本を決める私なりの基準を説明して、生徒にも自分なりの基準をつくってはっきりさせなさいと言う時。どんな時にどうやって小説を読み飛ばしするのかを語る時。面白くない本はいったん本棚に戻すように背中を押す時、この本を読もうかどうか迷っているよみてえにどうやってそれを検討するのかを示す時、いつだって私は自分の知識と経験を生徒に手渡し、それを彼らに委ねようとしています、生徒たちに読みたい本リストを作るよう言うときには、彼らが自分の考えを持った自立した読み手になれるようにと助け読み終えた本や読むのをやめた本を記録する用紙を渡す時には、自分の読み手としての傾向を考えて、それを発展できるよう考えています

学期末に試験をするのではなく、ポートフォリオで評価をしています

国語の授業中に実際に書く時間を優先的に確保すれば、生徒たちは授業時間以外も書き手として考える習慣を身につけるでしょう。

アメリカの上位5パーセントは下位5パーセントの144倍本を読んでいる

文法学習は生徒の能力育成にはマイナス

私がワークショップを好きなのは、私にそうさせてしまうくらい、それを好きな誰かがいるから。生徒がいるから。p108

読者が身近に感じられる1人称の声と存在感、情景が目に浮かぶような単純な色を表す単語と知覚に訴える動詞、工夫された題名、比喩表現、リズムを創り出すような繰り返し、共感を呼ぶような終わり方

それで?の法則
→書く目的、ポイント、理由が存在している p175

頭と心の法則
→書き手自身、あるいは主人公が頭で考えたこと、心で感じたことがなければ、読者を話のなかに引き込むことはできない  p179

一粒の小石の法則
→一般論や何かの全般について書くのはやめよう。自分が観察した、特定の人、場所、場面、時間、もの、動物、経験を書こう  p184

メモ書きの法則
→下書きとして書くのではなくて、下書き用以外の紙を使ってそこに落書き的に書くことだ p186

下書きは行間をとる

書こうとしない生徒に教師はどう対応したらよいのかという質問をよく受けます。それに対しては自分がどう見られているのかという心配を軽減し、メモ書きを使って生徒が持っているものが外にうまく溢れ出るようにするというのが私の対応策です。p191

アトウェルのライティングワークショップの特徴の一つが、書き言葉の慣習について丁寧に厳しく教えているということです、書き方の間違いは指摘せずに楽しくのびのびとという言葉は彼女のワークショップには当てはまりません

読むことは人類の全歴史における驚異のひとつ

たくさん読める人は、すでに何があるかがわかっているので、文の中の30%の単語を飛ばしているという研究結果があります

ルイーズ・ローゼンブラット
→喜びを味わう読み方と情報を得る読み方

経済状況が極めて厳しい地域の学校で、恵まれない環境にいる生徒に長期休暇中に読む本を自分で選び、自宅に持ち帰らせたところ、それをしなかった生徒と比較して、読解の点数に有意差が出たという画期的な研究が報告されていますp237

読者は「誰か」感情移入できる特定の人を求めているよ

完成作品にコメントするのでは遅すぎるp 246

余分な修飾語はないか

終わりで力尽きてないか

主張文の書き出し
→エピソード、引用、ニュース、告知、ストーリー仕立て、描写  p264

同じ単語がすぐに繰り返して出ている時
→意味が近い、違う単語を使う。
→代名詞を使う
→削除する

読むことについての多くの研究にお金をかけてきて、確かに言えることがある。
それは、よい読み手は、励まし支えてくれる仲間と一緒にいることで、読めるようになるということだ。
そして、その効果をもたらすのは、信頼できる大人の情熱である
by  マーガレット・ミーク

教師自身が情熱的な大人の読み手であることこそが、生徒には一番影響力があり、リーディングワークショップでの譲り渡しに本物の説得力を与えるのです  p278

過去の優れたレターエッセイを集めて、それを生徒に研究させることから、このジャンルの学習を始めています
→教師がつくったルーブリックで教えるより、はるかに効果的

毎学期の最後の1週間はポートフォリオまとめ
学年の最後は、1年間でどのように成長したのかという
最終報告

学期末の問い
→完成作品数とそのジャンル
→自分の書いたもの、よい作品になっている特徴を見つける
→今学期、書き手としてどうやって幅を広げたのか?

私は一つひとつの作品に成績をつけることはしません

段階別の成績を出す場合
→期待することに応え、各自で立てた目標を達成していれば、Aの成績
→一定のレベルを超えていたらB
→水準レベルで可もなく不可もなければC
(低い目標が得現象をどうする?)
→読んだページ数、レターエッセイなど、点数化







以上がビビッときたメモです。
これからも本を読みたいし、早く生徒に会いたいと思わせる1冊でした。
最後に、本書で引用されていた詩を1つ。








あなたが何かをするのは、それが好きだから。その何かを好きなのは、そうさせてしまうくらいそれを好きだった誰かがいるから。その好きなことによって、あなたの心はテントの杭のように地球の核へと打ち込まれている。だからこそあなたの心は電離層を通って燃え盛る光の上に。だからこそ、あなたはあなたのなすべきことに向かう。
トーマス・ラックス    p55

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