ケンシ@『学び合い』と真正の学びブログ

本の紹介、高等学院の立ち上げ、育児について書いています。以前は、『学び合い』、真正の学び、社会科教育などをメインに書いていました。

イノベーター理論の忘れ物


幼い頃最大の忘れ物は



ランドセル



ケンシです。
今日は、「イノベーター理論の忘れ物」について書きたいと思います。


イノベーター理論は、ご存知の方も多いと思いますが、
J-marketing.netのHPによると、
https://www.jmrlsi.co.jp/knowledge/yougo/my02/my0219.html


イノベーター理論とは1962年に米・スタンフォード大学社会学者、エベレット・M・ロジャース教授(Everett M. Rogers)が提唱したイノベーション普及に関する理論で、商品購入の態度を新商品購入の早い順に五つに分類したもの


です。その5つとは、


1イノベーター(Innovators:革新者):
冒険心にあふれ、新しいものを進んで採用する人。市場全体の2.5%。
2アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用層):
流行に敏感で、情報収集を自ら行い、判断する人。他の消費層への影響力が大きく、オピニオンリーダーとも呼ばれる。市場全体の13.5%。
3アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随層):
比較的慎重派な人。平均より早くに新しいものを取り入れる。ブリッジピープルとも呼ばれる。市場全体の34.0%。
4レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随層):
比較的懐疑的な人。周囲の大多数が試している場面を見てから同じ選択をする。フォロワーズとも呼ばれる。市場全体の34.0%。
5ラガード(Laggards:遅滞層):
最も保守的な人。流行や世の中の動きに関心が薄い。イノベーションが伝統になるまで採用しない。伝統主義者とも訳される。市場全体の16.0%。


です。
(J-marketing.net  HPより)


そして、

普及率16%の論理

として、

イノベーターとアーリーアダプターは合わせても市場全体の16%しかありませんが、この2者まで普及するかどうかが次のアーリーマジョリティ、レイトマジョリティに広がるかどうかの分岐点

とされています。
(J-marketing.net  HPより)


実際に、総務省のHPで携帯電話の普及率を確認してみると


集計年度人口普及率契約数
平成元年度末0.3%35,980
平成2年度末0.6%85,638
平成3年度末1.1%153,230
平成4年度末1.4%200,507
平成5年度末1.7%249,916
平成6年度末3.8%542,350
平成7年度末9.6%1,394,144
平成8年度末19.8%2,884,252
平成9年度末29.3%4,275,205
平成10年度末38.6%5,655,032
平成11年度末47.5%6,996,302
平成12年度末56.0%8,263,070
平成13年度末60.9%8,998,717
平成14年度末64.8%9,620,863
平成15年度末68.5%10,195,044
平成16年度末72.0%10,637,205
平成17年度末73.3%11,005,174
平成18年度末76.7%11,527,177
平成19年度末80.5%12,096,322
平成20年度末82.2%12,349,239
平成21年度末84.5%12,696,241
平成22年度末88.5%13,365,328
平成23年度末93.5%14,121,600
平成24年度末98.0%14,810,179
平成25年度末101.7%15,368,998
平成26年度末104.5%15,798,033
平成27年度末107.1%16,096,152
平成28年度末107.5%16,157,125
平成29年度末109.4%16,449,236


平成7.8年頃からドバっと普及率が増えています。


こうしたことから、


約2割


を動かすことが大切だとされていて、ケンシもこの理論を使い成功した事例がいくつもあります。
しかし、以前も紹介した『社会を変えるには』 (小熊英二  講談社現代新書 2012)にこんな一節があります。


「イノベーター理論は、一種の経験則で、なぜそうなるのかの根拠は不明確なところがあります。また状況がどんどん変わってくると、昨日は遅滞者に見えた人が熱心に動いたりすることもあるので、あまり固定的に「相手にしてもだめだ」とみなすのは考えものです」
(P463)


イノベーター理論の根拠として、「社会的ネットワーク論」などがありますが、(またいずれ紹介させていただきたいです。)


「遅滞者に見えた人が熱心に動いたりすることもある」


というのは確かにそうかもしれないな、と思いました。


ケンシの父親もブーブー批判していたのに割と早めにスマートフォンを購入していました。


小熊さんの言説や、ケンシの父親のような現象は、


「イノベーター理論の忘れ物」


そして、「近代経済学の忘れ物」


を思い出させてくれます。それは、








人間は、不合理な存在でもある








という点です。
近代経済学は、「人間は合理的な存在である」という仮定で研究を進めてきました。
合理的な人間とは、


新しいものや人があまり使っていないものは、危険だ。
だから、パソコンも携帯も自動運転の車も多くの人が使うようになるまで買わないぞ!


という人間です。


しかし、実際こういうケースも多いのではないでしょうか?


新しいものや人があまり使っていないものは、危険だ。
だから、パソコンも携帯も買わないぞ!
だけど、好きな俳優が買ってたし、自動運転の車は買おうっと。


という場合です。
だからこそ人間は、不合理な存在でもあるし、ラガード(遅滞者)に見えていた人が急に熱心に動き出したりもすると思います。
だからこそ、こうした「不合理な存在でもある」ことに注目した研究として最近は、
行動経済学」が流行りつつあるようなのです。


イノベーター理論を使っていると、


ラガード(遅滞者)はほっとけ


という扱いになることもあると思いますが、
ラガード(遅滞者)の不満や批判に耳を傾け熱心に対応することが、物事を広めることになるかもしれません。


これが、「イノベーター理論の忘れ物」です。
もちろん、数が多いと大変なので限界はあると思いますが、クラスや学校レベルであれば、
しっかりと、ラガード(遅滞者)の不満や批判に耳を傾けたいなぁと思います。


今後も忘れ物に気をつけて頑張りたいです。

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